第32章 不協和音
桜「紡?和泉との話は終わったよ···っと、いまは “ 和泉先生 ” だったね?」
わざとらしく先生の部分を改めて言う桜太にぃは、ちょっと意地悪な笑顔をしていた。
『終わったって···じゃあ?』
桜「あぁ、短期留学の話はなし。そもそも紡は、語学留学なんて必要ないからね。今のやり取りだって理解出来てるだろ?」
『···まぁ、そうだけど』
流れるような会話のやり取りを聞きながら、話の内容は理解出来てるけど。
桜「和泉、それで構わないだろ?ちゃんと目の前で証明したんだから。それに、紡に勉強を教えてるのは誰だと思ってる?」
足を組み替えながら和泉先生を真っ直ぐ見る桜太にぃは、堂々としていて。
それを目の前に和泉先生もたじろぐ。
和「諦めはつかないが···今日の所はここまでにしておいてやる」
和泉先生···なんかその言葉、負けが確定してるのに強がる悪役みたいです···
桜「諦め悪いのは変わらないな、和泉。そんなに聞き分けがないと···」
和「···な、なんだ」
桜「俺の分身、召喚しちゃうよ?」
分身???
和「っ?!···城戸 紡」
『あっ、はい!』
ヒヤリとする和泉先生の視線に背筋を伸ばしながら慌てて返事をする。
和「今回は非常に残念だが···この話は見送る。以上だ」
やった!···これで夏休みもずっとみんなと一緒にいられる!!
長机の下で小さくガッツポーズをしながら、席を立つ和泉先生を見送る。
和「あぁ、そうだ···城戸桜太」
桜「まだ、何か?」
和泉先生が振り返る事もせずに桜太にぃへ言葉を続ける。
和「She is still, whether're together also with you now?」
(彼女はまだ、今もお前と一緒にいるのか?)
和泉先生の言葉に私はハッと顔色を変えてしまう。
そんな私を見て桜太にぃが静かに瞼を閉じ、微笑みを浮かべた。
桜「Even the course'm together forever ... now, from now on be ... much」
(あぁ、もちろんずっと一緒だよ···今までも、これから先も···ずっと)
桜太にぃがそう答えると、和泉は小さく···そうか···と残して静かに部屋を出て行った。