第31章 ステップアップへのチャンス
え?!
桜太にぃがここに来るの?!
繋心、断っていいから!
繋「ふ、父兄はそこで見とけっての!」
慧「ケチケチすんなよ繋心。ちっとくれぇイイだろ?練習試合なんだからよ」
繋「慧太!お前も乗っかんなよ!」
大人3人のやり取りに烏野メンバーが笑い出す。
嶋田さんや滝ノ上さんだって観覧席で見てるんだから、わざわざコートに降りてこなくてもいいのに。
猫「繋心、いいじゃないか。せっかく部員関係者が見に来てくれてんだから···おや?君は確か···私の記憶が間違っていなければ、烏養の秘蔵っ子の」
桜「ご無沙汰しております、猫又先生」
繋心に保護者なんだから、と笑いながら言って音駒の監督が前に進みながら上を見上げて桜太にぃを見つけると、桜太にぃも姿勢を正しながら挨拶をした。
···知り合い?
じっちゃの秘蔵っ子?
そんなこと聞いてなかったけど?
猫「おぉ、そうかそうか部員関係者って事は、この中の誰かが弟さんか?」
繋「いや、弟じゃなくて妹。こいつのアニキですよ先生」
繋心が私の頭をポンッと叩き音駒の監督の前へと押し出した。
『すみません···何だか兄達が···』
特に慧太にぃがうるさくて。
猫「そうか!道理で見覚えがあると思ったら、烏養のジジイにくっついてたお姫さんか!」
「「 ···姫?! 」」
その場にいた全員が一斉に声を上げる。
烏野メンバーは仕方ないとして、なんで音駒の方々まで?
田「···お嬢、ではなく?」
いやいや田中先輩、そもそも私···どこぞの組のお嬢でもないんですけどね。
西「だよなぁ!紡はどっちかっつーとお姫様って感じじゃねぇよな!」
旭「おい西谷···そんなハッキリと言ったらダメだろ」
ゲラゲラと笑いながら西谷先輩が言って、それを東峰先輩が宥める。
猫「なるほどなぁ、あの時の姫さんがこのお嬢さんだったとは···縁というのは面白いものだ」
菅「あの、そんな小さい頃の紡ちゃんを知ってるんですか?きっと可愛かったかんだろうなぁ」
興味津々な菅原先輩が前に進み出す。
あれ、でもなんか話の雲行きが怪しくなって来た?
猫「それはかわいかったぞ?なんせあのしかめっ面のジジイに懐いて、抱っこやおんぶや風呂だって一緒に、」
『わーっ!わーっ!わーっ!!そ、それ以上じっちゃの話バラしちゃダメーっ!』
