第31章 ステップアップへのチャンス
繋「お前らはまだ駆け出しのヒヨッコだ!だからガムシャラに食らいついてけ!!パワーとスピードでガンガン攻めろ!!」
ちょっと繋心?!
駆け出しのヒヨッコって、烏野は職人の集まりですか?!
田「力でねじ伏せろってコトだな?」
あぁでも···なんか若干おひとり様、それっぽい人いるよ!!
ニヤリと黒い笑みを浮かべる田中先輩を見て複雑な気持ちになる。
日「なんかそれ、悪役っぽい」
いや日向君も乗らなくていいからね···
繋「いいじゃねぇか、悪役!カラスっつうのも悪役っぽいしよ!」
武「烏養君!顔が怖いですよ!」
田中先輩以上に真っ黒な笑みを見せる繋心に、武田先生が引き気味になってるじゃん!
繋「ヘタクソな速攻もレシーブも力技で何とかする!荒削りで不格好な、いまのお前らの武器だ!!いま持ってるありったけの武器で···攻めて!攻めて!···攻めまくれ!!」
「「 ッス!! 」」
繋心···練習試合だからまだいいけど、これがちゃんとした試合だったら。
今頃は繋心···ベンチから出されてるからね?
でも、いまの繋心の言葉で烏野の雰囲気がガラリと変わった。
ー ピッ! ー
いまので烏野も20点台に上がって、あと少しで同点。
そこまで持ち込めたら、その先はどうなるか···だよね!
何度と回数を重ねる攻防に、得点板の数字が入れ替えられていく。
烏野からのサーブを夜久さんがレシーブで研磨さんに繋げる。
誰に上げる?!
誰を使う?!
またクロさんにトスを···?
田「落ち着いて止めんぞ!」
日「はいっ!!」
あっ!!
夜久さんから繋がれたボールが研磨さんに届いた時、研磨さんは誰にトスを上げるでもなくツーアタックでボールを送り込んだ。
烏野は西谷先輩が飛び込んだけど間に合わない!!
さっき見せられたクロさんの速攻とかで、研磨さんがツーアタックして来る事を忘れてた···
そして今の研磨さんので、音駒がマッチポイント···
たかが練習試合。
でも、されど練習試合。
練習試合は、試合の練習なんだから···本気で食いついて行かないと意味がない。
試合終了までの残り1点を、音駒がどう攻めてくるか。
烏野がどうやって詰めて来るか。
まだまだこの試合、目が離せない!
じわりと滲んで来る額の汗を手の甲で拭いながら、ひとつ瞬きをした。
