第31章 ステップアップへのチャンス
~ 影山side ~
ー ピッ! ー
アイツ···確かに···
菅「いま···日向、トスを···」
山「見ましたね···」
俺の見間違いとかじゃければ、日向はいまスパイク打つ時にバッチリ目を開けてた。
菅「今まで、ボールは完全に影山に任せて、ひたすらフルスイングだったのに!!」
···そうだ。
なのに今、日向は···ボールを見た。
繋「た···た、たタイム!!」
今の日向の行動を見て、コーチが慌ててタイムをかける。
慌てんのも仕方ねぇ。
この場にいる烏野の全員が、初めて見る···日向の、目を閉じてないスパイクフォームだったから。、
ー ピーッ! ー
審判のホイッスルで、日向が急に俺を振り返る。
日「あ···お前のトス、信用してないとかじゃなくてだな!···えっと···なんだ···?」
「なに焦ってんだ、お前」
まだ俺は何も言ってねぇだろ。
言いたいことは山のようにたくさんあるけどよ。
繋「影山。日向にいつもより少しだけ柔めなトス、出してやれ。いつものダイレクトデリバリーではなく、」
「インダイレクトデリバリー」
繋「いつものズバっていう真っ直ぐな軌道のトスじゃなく、少しだけフワッとしたトスだ。いきなり変えろって言われても難しいかも知れねぇけど」
「やります!」
それで少しでも現状が変わるんだったら、そんなの···いくらでも調整は出来る。
さっきの日向を見て、試してなんとかなるんなら。
···やってみるしかねぇだろ。
ダイレクトデリバリーにすれば、ジャンプした後に今までよりも少し余裕が出来るハズだ。
それを日向が上手く使う事が出来れば、きっと何かいい方向に進むんじゃないかとか、そんな気がする。
少しでも合わせる練習が出来ればよかったけど、今はそんなこと言ってる場合じゃねぇ。
この場で、それをやる。
あとは日向がどれだけ順応する事ができるか、だ。