第29章 ネコと呼ばれる人達
~東峰side~
日「ふンぬぁ~!」
影「チッ!」
あはは、あいつらはいつも元気だなぁ···
なんて、微笑ましく眺めてる場合じゃないな。
1ヶ月もの間、ずっと部活に顔を出さなかった分を取り戻さないと。
せめて、今度は少しでも役に立つスパイクが打てるようになるまでは、例え日向や影山にだって負けるワケにはいかないからね。
澤「日向!ムダに叫ぶと後でへばるぞ!」
···そういう大地も、じゃないのか?
日「ぅるぁぁぁぁぁっっ!!!」
澤「日向!おいっ、どこ行くんだっ?!」
叫びながら加速した日向君が、どんどん先を走って行き、遂には見えなくなってしまった。
菅「あ~あ、見えなくなっちゃったし。大地、どうする?」
澤「どうするって言っても、日向を追いかけて連れ戻すか、既に迷ってたら探すしかないだろ···」
先頭で足を止めたふたりに続いて、後を付いて走っていた俺たちもその場に止まる。
影「あンのバカ日向!···澤村さん、俺が探しながら走って来ます!」
いや、影山は行かない方がいいんじゃないのか?
じゃないと、日向を見つけた途端に揉めそうだ···
菅「影山が行ったらその場でケンカになりそうだからオレが行ってくるよ。何年も走った道だし、日向と違って迷う事はないからね」
澤「まぁ···そうなる事は少なからず予想は出来るな」
みんな考える事は同じだな。
菅「大地が抜けるより、オレが抜けた方がチーム的にもいいんじゃないかな?」
「それならスガもだろ。だったらオレが、」
西「旭さんはダメです!部活出てなかった分、キッチリこの合宿で取り戻して貰います!」
「はい···頑張ります···」
西谷にはやっぱり、敵わないなぁ。
澤「スガ。悪いけどじゃあ···」
菅「オッケ。大地達はこのまま普通に走ってて?オレは日向を探して、見つけたら一緒に走って帰るから。あと、体育館にいる清水達にもオレから連絡入れとくから」
お互い頷きあって、2手に分かれることになった。
もちろんオレは、走る方で。
西「旭さん、しっかり走りましょう!」
「アイタッ、あ、あぁ、はい···」
とてつもなく元気な西谷に背中を叩かれながら、オレ達はスガをその場に残して走り出した。