第29章 ネコと呼ばれる人達
まぁ不幸中の幸いと言うか、騒ぎ出しそうな西谷と田中は入浴中だし、とりあえずスガだけ見張ってれば大丈夫···か?
サッと荷物を片付けながら、部屋に居合わせた縁下も呼んで紡からの話の流れを説明して2年生代表として参加してもらう。
2年のメンバーの中じゃ、縁下が一番まともな意見を出してくるからな。
『それで、ドリンクをどうするかですけど···』
澤「こっちとしては武田先生が頼みに頼み込んで来てもらう側だから、出来るだけの配慮はしたいと思ってる」
『それは私も同意見です。時間の配分は何とでもなるとして、出来るなら帰る前に軽食とか用意出来たら···とかも思ったんですけど。練習試合の後に新幹線で東京まで帰るにしても、軽くお腹に入れて貰ってからの方がいいんじゃないかと』
菅「なるほど···それは確かにそうだなぁ。オレ達だって練習とか練習試合の後は腹減り軍団だし」
『まぁ、そうは言ってもおむすびとかサンドイッチとか、そういった類の物くらいしか用意出来ないって言うのもあるんですけど』
ドリンクに軽食に···手間はかからない物だと言っても、数の問題がなぁ。
清水と紡の二人に、一時的に先生が加わったとしても体育館に責任者がいないってのは大丈夫か?
縁「あの、ちょっと考えてみたんですけどいいですか?」
それまで黙って話を聞いていた縁下が、小さく手を上げながら口を開いた。
縁「ドリンクですけど、ジャグにひとまとめに作って場所を決めて設置するって言うのはどうですか?烏野も音駒も個人でカラになったら自分で入れる、みたいな。それなら少なくなればジャグの分を作ればいいし、個別に作ったりする手間は省けるんじゃないかと」
「なるほど、それは確かにいいな。じゃあ、ドリンクはそれで行こう。部にもジャグがあるから、明日清水と確認して貰える?」
『わかりました。清水先輩が来たら伝えます』
···と、すると?
縁「あと軽食ですけど、練習試合が始まったら誰かが手伝いに入る事は難しいだろうし、だったらその前に纏めておにぎり作って置けば、とか思うんですけど」
『ここで作って、移動する時に一緒に運ぶ感じですか?』
縁「そうだね、それなら手が空いてる人間が手伝う事は出来るし、軽食も作り置き出来るだろ?」
さすが縁下···やっぱり来期の部長はお前に任せたい!
「縁下の考えで行こうか」
