第29章 ネコと呼ばれる人達
桜太にぃも慧太にぃも、結局は武田先生にどうぞどうぞと誘われて、断り切れなかったのかみんなと肩を並べて食事を取っている。
各学年毎に座って食べてはいるけど、清水先輩が3年生のところにいるからって理由で、私も3年生の場所にお邪魔します状態で。
いろんな事を話したいのか、3年生の場所には桜太にぃ達も、繋心も一緒で、物凄く···食べ辛い。
だって私の目の前には、戦うべき相手···ゴロゴロに刻まれたカレーのニンジンが···
ここが、せめて1年ズの席ならば!
月島君にイジワル言われようと、影山のお皿にコッソリ移動させる事が出来たのに!
なのに、この席は。
目の前に澤村先輩、その隣に東峰先輩。
私の右隣には清水先輩、左側には···菅原先輩。
さらに言えば、テーブルの角っ子には大人組が。
···逃げられ、ない?!
もう、ニンジンの事で頭がいっぱいで、大人組や澤村先輩達が音駒がどうの···とか話してるけど会話の内容なんて入って来ないよ!!
菅「紡ちゃん?あんまり食が進んでないみたいだけど···どうかしたの?」
『え?!あ、えっと、大丈夫です!はい!』
菅原先輩、体は元気いっぱいだから、食事には触れないでください···じゃないと···
慧「はは~ん、紡、お前またかよ」
ホラ来た!
こういう事に異常なまでに敏感なイジワル攻撃が!!
澤「また、って?」
武「もしかして城戸さん、何か苦手なものでも?」
『そ、そんな事は···アハハ』
お願いします皆さん!
私の事は気になさらずに!
慧「紡はどうしても人参が、だよな?」
ニヤニヤしながら頬杖をついて、慧太にぃが私を見る。
菅「そっか!紡ちゃん人参苦手だったよね?それならオレが代わりに」
澤「スガ、そういう事じゃないだろう」
旭「でも、どうしても食べられないんだったら仕方ないんじゃないのか?」
東峰先輩···私にはアナタが今、神様に見えます!
澤「旭、そうやって優しさ振り撒いても俺には何も響かないよ?」
私にはすっごーく響いてますから!
桜「紡、好き嫌いはダメだっていつも言ってるんだけどな?」
慧「なんだったらオレが食わせてやろうか?」
カタンとイスを動かし、慧太にぃが近寄って来た。
『い、いい···大丈夫!自分で食べられますから!ご心配なく!そしてあんまりコッチ来ないで!』
