第29章 ネコと呼ばれる人達
~烏養繋心side~
オレは今、目の前の光景が夢だと信じたい···
なんで、なんでだっ?!
「ぬぉわぁぁぁっ?!な、なんでオマエがここにいる?!」
思わず一歩下がりながら、オレは声を上げた。
慧「よっ!···ププッ···なんだその気合い入りまくりのジャージ姿は!」
「テメェも人のこと言えねぇだろが!こないだジャージ着てただろ!···いや、ちょっと待て。お前いま、なんて言った?」
オレの、聞き間違いであって欲しい。
慧「あ?···ジャージ姿?」
「その前だ、その前!」
慧「カレー温まった?」
ドクドクと心拍数が上がるのを感じながら、息を飲む。
「そ、そのちょっと···前···」
気のせいか、冷や汗が流れてくる感じもする。
慧「はぁ?!なんなんだよ繋心!カレーの前?!···だから、桜太が、」
「桜太もいるのかよっ?!」
神様···アンタはオレになんつー試練をお与えになった···
桜「うるさいぞ慧太。大人なんだからあんまり騒ぐなって···烏養もいたのか」
オレ達の騒ぎっぷりに、食堂の入口から悪魔が顔を出す。
「出たァァァァァ!!な、ななな、なんでブラックツインズが?!」
『だからその呼び方!!』
「オイ紡!お前か?!お前が召喚したのかっ?!」
『召喚ってなに?!』
オレに向かってキャンキャン吠える紡に、なんてモノを召喚したんだ!と更に言って退ける。
桜「大丈夫だよ、紡。俺達は何も気にしてないから···さ?中に入って、武田先生と清水さんの手伝いをしておいで?分かった?」
『あ、そうだった!みんなお腹空いてるんだった!』
桜太に促され、唯一の救い···になるかわからんが、とにかく紡は小走りで去って行く。
桜「紡がお世話になってるし、多人数の食事は人手もいるだろうからって慧太と手伝いに来たんだよ」
「急になんだッ?!」
桜「···烏養が聞いてきたんだろ、何でいる?!って」
壁にトンっと寄りかかりながら、長い足を交差させてオレを見る。
···クソっ、コイツは昔と変わらず何してもキマッてやがる。
じゃあなくてだな!!
「それだけじゃ、ねぇだろ。ここに来た目的はよ」
オ、オレは知ってっぞ!
お前が無類のシスコンだっつー事を!
ま···まさか···泊まるとか言わないよな?!
桜「烏養、頼みがあるんだけど」
