第29章 ネコと呼ばれる人達
繋「マジでオレも一緒でいいのか?」
澤「はい、先生がそう言ってるので大丈夫です」
『おかえりなさい!ご飯出来てますから大地さんも繋心もちゃんと手洗いして下さいね?』
ビシッと指差して言うと、澤村先輩は俺達は子供か!って笑って返してくれる。
『大人も子供も、ご飯の前にはちゃんと手洗い必須ですよ?特に繋心は心も洗ってね!』
繋「おいコラ!なんでオレだけ心も汚れてるみたいな言い方すんだよ!」
『ん~···なんとなく繋心は大人で男で変態っぽいから?』
べーっと舌を出して意地悪をすれば、繋心が急に胸を張った。
繋「男はみんな、ムッツリで変態なんだ!」
うわ···凄い宣言。
『みんなって、そんなの繋心だけでしょ?』
繋「違うわ!ここにいる澤村もきっとそうだ!」
『大地さんも···そうなんですか?』
繋心の言葉に、訝しげに視線を送る。
澤「えっ?!あ、いや···どう、なんだろうな、ハハッ。俺は違う···かな?」
『ほら、やっぱり繋心だけじゃん』
繋「おい澤村!裏切るな!」
焦る繋心を前に、私も澤村先輩も我慢出来ずにゲラゲラと笑い出した。
慧「おーい、紡!いつまでもこんなトコで何やってんだ?桜太がカレーの鍋温まってるってよ!」
『分かった、すぐ行くから!』
澤「え?慧太さん?!」
···はぁ、そうだった。
いきなりの登場で、澤村先輩だって驚いてる。
けど、私だってビックリしたんだから。
大人は繋心と武田先生だけだと思ってたのに。
さっき、嶋田さんと一緒にみんなでお茶を飲んでいる時、どういう訳か桜太にぃと慧太にぃが···合宿所にやって来た。
慧太にぃは自分に入っていた予約が終わったから、桜太にぃはキッチリ仕事を終わらせて、定時ピッタリに退勤したからって、二人揃ってここへ。
···武田先生が言っていた助っ人って言うのは、ふたりのことだったんだって、その時思ったんだよね。
確かに、桜太にぃがいればご飯なんてあっと言う間に出来ちゃうし。
武田先生から後から聞いたけど、お昼位に桜太にぃから連絡があって、是非お手伝いを···って申し出があって···と、先生は喜んでたけど。
私は複雑だよ。
···ま、まさか?!
ここへ泊まるとか言い出さないよね?!
全身から怪しい不安を出しながら、私は慧太にぃの顔をマジマジと見た。
