第29章 ネコと呼ばれる人達
サラダも盛り付け終わったし。
カレーも温めてる!
あとはご飯が炊けるのを待つだけ、かな。
それにしても、凄い量の調理だったなぁ。
みんなこんなにたくさん食べられるのかな?
···食べるだろうな。
部活終わりの運動部員は、嶋田さんが腹減りモンスターだって言ってたし。
ひと通りお皿なども並べ終わると、みんながやって来たのか廊下が賑やかな声で溢れ出す。
武「どうしたんでしょう、随分と賑やかな気がしますが?」
使った道具を洗う武田先生が、目を丸くして私を見る。
『あ、私ちょっと様子を見てきますね?』
お願いします、という先生の声を背中で受けながら私は廊下に出てみた。
『ちょっと日向君、なんの騒ぎ?』
廊下に出てすぐ日向君の姿が目に入り、そのまま声をかけた。
日「影山と月島が···空気がマズイって」
影「俺は言ってねぇ!」
月「マズイんじゃくて、むさ苦しいって言ったんだケド?」
『むさ苦しいって、普段のメンバーと同じなのに?』
別にこれと言って日常の部活の時間と変わらないのに?
田「月島てめぇ!」
西「半径500メートル以内に潔子さんがいる空間は、むさ苦しくねぇんだよ!」
あはは···なんか騒がしいのが増殖しちゃった。
田「この清く澄んだ空気が分からないとは···なんてかわいそうな···」
あの、ここにいる女子は清水先輩だけじゃないはずなんですけど?
···私の立ち位置って、なんか微妙?
菅「お前ら大袈裟だなぁ。清水は家近いから、用事終ったら帰っちゃうよ?」
田·西「「な···なんて事だ···」」
微かな声を絞り出しながら倒れ込むふたりをひょいっと跨いで、菅原先輩がご飯ご飯~っと鼻歌を歌いながら食堂へと入って行ってしまう。
菅原先輩···お願いだから。
爽やかな笑顔を残して、この生きた屍のようなふたりを放置するのはヤメテ下さい···ホント。
武「城戸さん?って、うわ···何やってんの?キミ達」
田「武ちゃん···オレ達は、もう···」
なんか田中先輩も西谷先輩も、本当に死にそうになってるんですけど。
清「城戸さん、ご飯炊けたみたい」
田·西「「ふ、おぁぁ···」」
武田先生の後から清水先輩が顔を出すと、それまで死にかけてたふたりが急に元気になった。
ホント、分かりやすいっていうか。