第29章 ネコと呼ばれる人達
繋「今日はここまで!片付け始める前にちゃんとストレッチしろよ!」
「「 オーッス! 」」
やっと、終わった···
さすがに守備だけでずっとコートにいた桜太にぃ達も、僅かに肩で息をしてるのが分かる。
あの元気いっぱいな西谷先輩だって、床にへばってるし。
記録しか付けてなかった私でさえ、何度もハッとなったり、決まらないスパイクに息が詰まりそうになったりしたし。
清「どうぞ、部員達と同じ物しかなくて申し訳ないですけど···」
桜「ありがとう」
慧「おっ、潔子ちゃん気が利く~!どっかのお子様とは大違い!」
···あのねぇ。
『私だってちゃんと仕事してました!ほら見て!』
ノートを広げ、前に突き出すように慧太にぃに向ける。
慧「オレは別に、紡が気が利かないとは言ってないぜ?あ~それとも、お子様ってトコに反応しちゃったか?」
くぅぅっ···言葉じゃ勝てないのが悔しい!
でも、それ以外もまったく勝てないけど。
繋「紡、記録どんくらい取れたんだ?」
グンッと伸びをしながら歩み寄る繋心に、まだ簡単な計算しか出来てないけど···と言いながらノートを渡す。
繋「···簡単な計算しかって、それでも細かく取れてんじゃねぇか。スゲーなお前」
澤「初めてそのノートを見た時、俺は絶対にこれからの烏野に必要な人材だと思ったんです。夢中で勧誘しましたよ」
繋心の言葉に、タオルを手にした澤村先輩までがノートに目を落とす。
桜「そうそう、あの時だね。影山君伝いに連絡が来て、家まで訪ねて来たんだよね、澤村君は」
慧「だよな?あん時オレと紡はその場には最初いなかったけどよ、みんなが帰った後の桜太は···ククッ···」
あの日の夜って?
別に桜太にぃは、普通だったと思うけど?
澤「あの、何か俺達が···」
慧「いや、澤村達はなんも。あの日の夜、桜太は···急に紡を訪ねてくるとか、堂々たる交際の申し込みとかじゃなくて良かった、って。オレはそっちでも面白かったと思ったけどな?」
澤「え?!」
桜「慧太!」
慧「あ、やべ」
ペロリと舌を出してニヤリと笑う慧太にぃに、桜太にぃが冷たい視線を流す。
···慧太にぃ、アホすぎる。
でも、あの日シャワー浴びてリビング行った時に澤村先輩達が居たのには確かに驚いたけど。
あんなラフ過ぎる格好だったしね。
