第29章 ネコと呼ばれる人達
~山口side~
チーム分けされた時、チョットだけオレ···期待しちゃった。
だって、コーチが城戸さんにもコートに入れるかとか言ってるのが、聞こえてたから。
どう考えても向こうにはレシーブ力ありありメンバーが勢揃いだったから、もしかしてコッチ側に···とか、思ったんだけどさ。
そんなオレの小さな期待とは反対に城戸さんはネットの向こう側にいて、お兄さんと話してる。
その表情から、あのお兄さんが大好きなんだなぁと伝わって来る。
こっち側にもう一人のお兄さんがいるけど、同じ顔してても何が違うんだろう?
あ、でも!
あっちのお兄さんは、ちょっと王子様みたいでキラキラ優しい感じで。
こっちのお兄さんは···えっと?
ワイルドな感じで、王様?···はなんか違う。
なんだろう、例えるなら···海賊?みたい?
慧「ん···何だ?オレの顔に何か付いてるか?」
やばっ!目が合っちゃった!
「えっと、特には···」
慧「怪しいなぁ···さっきから視線を感じてると思ってたんだけどよ?」
「ひゃいっ!!か、海賊カッコイイです!!」
慧「は?···海賊?」
わわわっ!何言ってんだオレ!
繋「ブハッ···か、海賊···」
な、なに?!
急にコーチが笑い出したけど!!
慧「繋心、お前···何が言いたい?」
怖っ···なんか黒いオーラ出てる!!
繋「うううるさい!こっち向くな!見るな!···じゃ、始めるぞ!!」
なに今の無理矢理ミニゲーム始めようとする変な感じ。
なんか···変なの。
コーチが放ったボールを澤村さんが受け取る。
最初のサーブは、澤村さんかぁ。
一発目のサーブって、結構大事だから···多分だけどレシーブの上手くないところを狙って来る気がする。
日向とか、オレとか。
どう考えても、そんな気がする。
ー ピッ! ー
『大地さん、ナイッサー!』
···当然だけど、城戸さんはそう言うよね。
同じチームだし。
田「山口!ボケっとすんな!!」
「すみません!!」
田中さんの声に咄嗟に反応して、澤村さんからのサーブを受ける。
両手にズシリと重たい衝撃が来て···
「あっ!!」
オレがレシーブしたボールがセッターとは逆の方向に!!
慧「おぅおぅ、頼むぜ?」
素早く反応してくれた慧太さんがボールへと届く。