第29章 ネコと呼ばれる人達
澤「月島がレシーブ苦手なのは分かってます。けど、桜太さんや紡は苦手とか···」
桜「俺もそんなに上手くはないよ。烏養は俺と彼にはブロックに徹して欲しいんだろうね」
月「···面倒」
桜太にぃ、レシーブが上手くないとか謙遜してるけど。
実際、そんな事はないはずだと思いながら話の続きを待つ。
桜「恐らく、向こうにはスパイクに長けたメンバーが多くいる。慧太を含めてね。だから、対音駒仕様なんじゃないかな?こっちの仕事は、点を稼ぐ事じゃない。とにかく、ボールを拾う事。そして紡の仕事は、相手チームを混乱させる事だね」
混乱?
澤「それは、向こうのチームに打ちにくいスパイクを打たせる、とかそういうのですか?」
桜「それもあるけど、知っての通り紡はリベロもセッターも動ける。誰かがレシーブで拾ったら紡がトスを上げることも出来るから、向こうは軽く混乱するんだよ。誰がトスを上げて、誰が打つんだ?って」
めちゃくちゃなルール設定は、そういう意味もあったんだ?
繋心の考えてる事が良くわかんないと思ってたけど、桜太にぃから説明されるとスンナリ入ってくる。
澤「なるほど···じゃあ、作戦は至ってシンプルで行きましょう。桜太さんと月島は、旭を常にチェックしてブロック重視。確実に止めることが出来なくても、俺と西谷は死ぬ気で拾う。縁下はフリーで動いて貰って攻撃する時は向こうの穴を狙って打ってくれ」
縁「責任重大な役割ですね···」
桜「影山君。コートに入りたいかも知れないけど、外から見るゲームから得るものは大きいよ?普段気付かない事も、よく見えるし勉強になるからね」
影「···ッス」
あはは···あの顔はあんまり納得行ってない顔だよ。
桜「烏養!こっちは準備オッケーだから」
桜太にぃが声を掛けて、繋心が始めるぞ!とコートから出る。
ミニゲームなのにピリリとした空気が流れる。
だけどひとつだけ、私には気になる事があって。
···繋心、どうしてジャージパンツから手を離さないんだろう?
下がりそうなら、紐···あるんだけど?
まぁ···いっか?
桜「紡、無茶はダメだからね」
桜太にぃに肩を叩かれ、頷く。
繋「よし!じゃあサーブはAチームからな!」
ボールが入れられ、澤村先輩が受け取り移動していく。
ー ピッ! ー
ゲーム、スタート!
