第29章 ネコと呼ばれる人達

繋｢ルールを説明するぞ！まず菅原と影山はコートから出ろ。で、お前らはベンチで監督だ｣

菅｢えっ？｣

影｢···監督？｣

繋｢ホントの試合になればお前らは司令塔だ。だからこその監督役だ。これから始めるミニゲームでコートの中の動きを見てゲームの流れを組み立てろ。両チームの主なセッターは桜太と慧太がやってくれ｣

桜｢いいよ、分かった｣

慧｢セッターか···オレも打ち込みてぇのにな～｣

軽く拗ねながら慧太にぃが零す。

繋｢ただし、コートの中で指示は出すな。部員達に頭使わせて動いて貰え。他のヤツがトス上げられるなら好きなだけ打ち込んでいい。言わば、全員がセッターだと思って考えて動け｣

何だか凄いめちゃくちゃなルールだな···

繋｢それから西谷はリベロだが、コートに入りっ放しでいい、紡もな。その代わり死ぬ気で拾え！影山と菅原以外は全員コートに入っとけ｣

西｢っス！！｣

繋｢Ｂチームも同じだ。東峰、田中、気合入れてスパイク打て。紡がいるからって手を抜くな｣

イヤイヤ、東峰先輩のスパイクを私がまともにうけたら···多分、死ぬ気で拾う前に死ぬよ？

腕もげるよ、絶対。

繋｢オレは審判やるから、清水は得点頼む｣

清｢わかりました｣

両方のチームに作戦タイムだとか言って、みんなが小さく輪になった中に繋心が入ってくる。

『繋心、これってどんな意味があるの？』

繋｢あ？対音駒仕様だ｣

桜｢音駒？あぁ···なるほど、そういう事か｣

繋｢察しがいいな。じゃ、桜太から説明してやれ。オレは向こうに行ってくる｣

すぐに立ち去る繋心を見送ってから、桜太にぃがみんなに説明しながら作戦を立てる。

桜｢さっき烏養が言ってたのは、簡単な事だよ。澤村君、分かる？｣

澤｢いえ···いまいち｣

桜｢音駒っていうのはね、とにかくレシーブが上手くてボールを落とさないんだ。それは俺や慧太が現役の頃の話だけど。それで、このチームだと思う｣

レシーブが上手くてボールを落とさない。

···ボールを落とさなければ、負けにはならない。

それって結構、シビア···

桜｢こっちのメンバーをよく見て？俺の直感だけど、多分···レシーブに長けてる。俺と紡と月島君を除いて、だけど｣

そう言われると確かにって思える。

月島君がレシーブ苦手っぽいのも、見抜いてる。