第29章 ネコと呼ばれる人達
繋「じゃ、チーム分けするから待ってろ。紡、紙とペン貸せ」
『何その、超上から目線。慧太にぃみたい』
慧「なんだと?仮にも繋心はコーチだろうが」
繋「仮にじゃねぇし!コーチだし!」
桜「やれやれ、手がかかるのが増えた」
呆れながら笑う桜太にぃにつられて、みんなが笑う。
それにしてもこのチーム分け、なんか凄くバランス悪い。
紙に書き込んでいくメンバーを見て、この組み分けにどんな意味があるんだろうと疑問が浮かぶ。
繋「なんだ、紡。なんか言いたそうだな」
『え?あ、バランス悪い分け方だなぁ、とか』
繋「それが狙いだっつうの。よし、あとはリベロか···紡、お前どっちに入りたい?」
『は?どっちって···どっちでもいいけど、人数多くない?』
バレー部員は全部で12人。
そこに桜太にぃと慧太にぃが入って、既に14人で···私が入ったら15人。
繋「いいから、好きな方を選んでいいぞ」
好きな方を選べって言われても、ねぇ。
『ん~···じゃあ、コッチ側にする』
迷いに迷って、私は桜太にぃがいる方のチームに決めた。
繋「名前を読み上げるから、呼ばれたらそれぞれのコートに移動しろ。Aチームは澤村、影山、縁下、西谷、月島、桜太、あと紡」
呼ばれたメンバーが片方のコートに移動していく。
繋「で、Bチーム。東峰、菅原、田中、木下、成田、日向、山口、慧太な」
月「なんか···微妙」
言いたい事は分かるよ、月島君。
だけどね。
『ガッツリ私を見ながらの発言、やめて貰えるかな?』
月「別にポチを見てる訳じゃないケド?自意識過剰?」
桜「ポチ?」
月「えぇ、僕の···」
桜「僕···の?」
一瞬だけ、ピリッした空気があいだを流れていく。
つ、月島君、チーム内でピリピリモード作るのやめて···
月「僕の、考えた呼び名ってだけですケド?何と勘違いデスカ?」
月島君?!
桜「フフッ···君はなかなか面白い子だね」
桜太にぃ?!
『あ、あのね桜太にぃ!私がちっちゃくて、いつもちょろまかしてるから、それで!』
月「···自覚の芽生え?」
『月島君!!』
桜「大丈夫だよ、紡。俺は慧太じゃないから、誰彼構わずに噛み付いたりしないよ」
慧「オレは狂犬か、はたまた野犬か?」
『野良ダヨ』
慧「紡、聞こえてんぞ?」