第29章 ネコと呼ばれる人達
『清水先輩?合宿の時の食事作りですけど、ホントにいいんでしょうか?』
着替えてすぐに清水先輩と一緒に職員室に行って、武田先生と買い出しの打ち合わせとかしたけど···
清「武田先生が自分に出来る事があったからって言ってたから、大丈夫」
『そうですけど、顧問の先生が食事作りをやりたいとか···』
献立を決めて、材料や調理の時間配分とか、武田先生が張り切ってくれてるのはいいんだけど···
清「大丈夫、私達も一緒に作るんだから。それに人手は多い方がいいから」
ここに西谷先輩や田中先輩がいたら大騒ぎしそうな微笑みで言われると、妙に納得してしまうのはなぜだろうか。
清「印刷終わった。あとは体育館に戻ってから、このプリントを澤村に渡せばいいから」
人数分より少し多めにコピーした合宿のタイムテーブルを纏めて重ね、清水先輩と体育館へ戻る。
清「なんか、さっきと違って···静かね」
言われてみれば、みんなの声やボールの音が聞こえて来ない。
『何かあったんでしょうか?』
清「もしかして···ケガ人、とか」
『あ、それだったら桜太にぃが来てるので応急処置は大丈夫かと思いますよ?本職は医師ですから···小児科だけど』
清「でも、お医者様でしょ?···とにかく行ってみましょう」
そう言って歩く足を早め体育館の入り口から覗いてみる。
壁際に人が集まってて、金髪のツンツン頭が見えるから繋心が何か話してるのかな?なんて思いながら中へ入る。
繋「は、話せば分かる!だから、あんまコッチ寄るな」
···?
なに、してるんだろう?
ここからじゃよく見えないなと思って、更に中へと入る。
『あーーーーーっ!!なにしてるの慧太にぃ!!そんな格好して!』
繋「突っ込むトコそこかよっ!!」
何よりソコでしょ!!
いつの間にか烏野のジャージなんて羽織っちゃって、いったい誰のを着てるんだか!
···私だって、まだ自分のジャージないのに。
繋「ど?オレ様まだまだ高校生で通るだろ?」
ピラッとジャージを摘んで、慧太にぃがおかしなポーズを取る。
『今どきの高校生で、そんなオシャレ顎髭生やしたロン毛のなんちゃって高校生みたいな人はいません!!』
どうだ!とばかりに慧太にぃに胸を張って見せる。
澤「だ、そうだ旭」
旭「城戸さん···」
しまった!!一人いた!!
