第29章 ネコと呼ばれる人達
~澤村side~
ゲストまで入れての全員が揃って、バタバタ騒ぎがあったけど。
「よーし!コーチが来る前にアップまで終わらせるぞ!」
「「 オーッス!! 」」
そこかしこに散らばっていた部員達を集め、その先をスガに頼む。
「あの、お2人はどうされますか?差し支えなければ一緒に混ざって貰えると俺達はありがたいんですけど···」
2人とも高校まではバレーやってた経験者だし、昨日の町内会チームとの対戦を考えても···きっとその方が経験値が上がる。
慧「だってよ?どうする桜太」
桜「そうだね。せっかく体育館に来たんだし、着替えて来たし、仲間に入れて貰おうか?いいかな、澤村君?」
ダメなワケないじゃないですか!!
「はい!宜しくお願いします!じゃ、早速ですけど、」
慧「あ~待て待て。澤村、ちょい耳貸せ」
「はぁ、耳···ですか?」
慧「いいから早く」
言われるままに耳を向けると、慧太さんがニヤリと笑いながら内緒の伝達をして来る。
慧「あのな、アップが終わったら···」
······?
「あ、はい。それは構いませんが···じゃあ、俺と···あとはスガか旭ので」
桜「また慧太はそういう事を」
内緒の伝達を聞いていたのか、桜太さんが呆れながらも楽しそうに小さく笑い、ゴメンねアホな弟で···なんて苦笑を見せた。
部員達に混ざってアップを終え、サーブ練習をさせている間にスガと旭を呼び寄せる。
菅「ジャージを?別に構いませんけど、どうするんですか?」
慧「ちょっと思いついた事があってな。ま、アレだな、桜太」
桜「そこで俺に振るなよ、思いついたのは慧太だろ」
旭「じゃあ、コレをどうぞ」
慧「おっ、サンキュ!」
旭が自分のと俺のを慧太さんに渡し、2人が袖を通す。
「あの、それでジャージを着て何をするんですか?」
慧「まぁ、いいから。お楽しみは最後に取っとけって」
桜「ゴメンね澤村君···何かあったら責任は慧太に取らせるから。言い出しっぺだしね」
何が、始まるんだろう。
しかし、あれだな···
2人とも烏野のジャージ着ててもオーラが違う。
こう···なんて言うか、デキル男!みたいな。
いや、なんか違うな。
我ながらボキャブラリーの少なさに脱力しながら、2人のプレーからも経験値を得ようとボールを手渡した。