第29章 ネコと呼ばれる人達
清「城戸さん、何事?」
田·西「「 潔子さん!放課後もお美しい··· 」」
清水先輩の姿を見つけたのは私だけではなく、すかさず2人が駆け寄りキラキラ光線を出す。
清「田中、西谷うるさい」
西「潔子さんから、うるさい頂きましたァ!」
慧「え?潔子ちゃん?」
清「え?···あ、え···慧太さん?!」
いつもはポーカーフェイスの清水先輩が、少し驚いた顔をして慧太にぃを見る。
慧「やっぱりそうか!高校生とは聞いてたけど、烏野だったんだな」
なんで清水先輩と慧太にぃが知り合い?!
清「なんで慧太さんが···あ、もしかして···?」
言いながら清水先輩が私と慧太にぃを交互に見る。
慧「多分、大正解。そこのちびっ子はオレの妹だ」
清「···なるほど。それでここに」
慧太にぃ···どこで清水先輩と?
私が不思議そうに見つめていると、それを感じたのか慧太にぃは営業スマイルを発動させながら教えてくれた。
慧「潔子ちゃんはな、ウチの店のお客様だ。あ、ちなみに担当はオレね」
『えぇっ?!慧太にぃの?!』
西「なんだってぇ?!潔子さんが紡のお兄さんの?!紡のお兄さん!いえ!お兄様!確か美容師でしたよね?!」
田「ぬわぁっ?!美容院とな?!ドコですか?!ドコの美容院ですか!!俺も通う!潔子さんと同じ日に!!」
えっ、と···?
縁「うるさいぞ2人とも。それに西谷ならまだしも、坊主頭の田中が美容院に何の用事だよ」
月「その頭なら、せいぜい庭先でバリカン刈りデショ」
縁下先輩と月島君のツッコミに、周りが一斉に笑い出す。
慧「紡、お前変わったヤツらと一緒で楽しそうだな」
桜「この中じゃ慧太も同じだろ。むしろ、ボス」
『···確かに』
更にツッコミを入れた桜太にぃの言葉に、また笑う。
慧「桜太、あの予定は決行でいいな?」
あの予定って?
桜「そうだね、もっと煮詰める事にしようか」
2人がどんな計画を立てているのか分からないけど、楽しそうに話す様子を見て、何となくワクワクして来る。
桜太にぃが一緒なら、慧太にぃが暴走する事もないだろうから···お楽しみにしておこうかな?
そんな小さな期待と大きなワクワクを抱えながら、私は着替えのためにその場を後にした。