第29章 ネコと呼ばれる人達
午後の授業が終わり、欠席者がいた為に繰り上がった日直の仕事を影山と片付ける。
影「ホントにいいのか?」
『うん、いいよ。あとは日誌書くだけだし、影山も早く体育館行きたいでしょ?』
バレバレなんだよね、影山は。
さっきから、そわそわしちゃって。
影「じゃあ、先行く」
『うん。あ、そうだ!あのさ影山、今日···桜太にぃと慧太にぃが放課後の部活に顔出すって言ってたんだけど···』
影「あぁ、朝練の時に澤村さんに聞いたから知ってる」
『慧太にぃが繋心に悪さしないように見張ってて』
影「は?悪さって?」
『とにかく、慧太にぃだけは繋心に近づけちゃダメ!よろしく!』
意味わかんねぇよとボヤきながらも、影山は教室を出て行く。
だってなんか、嫌な予感がビシビシするんだもん。
私も早く行かなきゃ!と日誌を書き上げ、職員室へと向かう。
担任の先生は不在だけど、ちゃんと書いたし大丈夫だよね?
···大丈夫という事にしよう。
そっと机の上に学級日誌を置き、早く体育館に向かう為に職員室を出ようとすると、入口で山口君と鉢合わせた。
山「あれ?城戸さんも日直だったの?」
『そう言う山口君こそ?』
ちょうど同じタイミングで職員室にいた事もあって、山口君とは一緒に体育館へ向かう。
山「朝練の時に澤村さんが話してたけど、今日お兄さん達がくるんでしょ?」
『うん···まぁ···ね』
山「あれ?何か気乗りしてない感じ?」
いや、そりゃそうでしょ。
だって第一の目的は、部員の指導じゃなくて···ハゲつる繋心なんだから。
山「それとさ、菅原さんが泊まったのってホント?何か朝ちょっとした騒ぎになってたから」
『まぁ、ちょっとした事情によりホントだよ。私もびっくりしたんだから』
山「あ、じゃあさ?今度オレも遊びに行ってもいい?」
『え?あ、別にいいけど?特に楽しいことなんかあるかわからないよ?それでも良ければ』
びっくりした···話の流れから泊まりにとか言われるのかと思った。
まぁ、慧太にぃに捕まったらそれも現実になりそうで危ういけど。
『もし、ウチに遊びに来てて慧太にぃに捕まったら···とりあえず逃げて』
山「逃げる?!なんで?!」
何となく、と付け加えて話している内に体育館についてしまう。
まだ練習前なのか、中は賑やかで。