第29章 ネコと呼ばれる人達
桜「お弁当は、数がひとつ増えても大して変わらないから。慧太は仕事柄、外で食べる事が多いけど、俺と紡はいつもお弁当だからね」
『あれ?でもお弁当が2つって、今日は桜太にぃお休みなの?』
今の会話の流れからだと、桜太にぃが仕事ならお弁当は3つ···だよね?
桜「うん、お休み。で、偶然だけど慧太もね」
慧「そうそう、偶然だけどな。でよ、お前らが部活始まる頃に、ちょっぴり顔出して見ようかと桜太と昨夜話したんだよ」
菅「本当ですか?!それってオレ達の指導とか?!」
慧「ま、そんなトコだ」
いや、ちょっと待って。
菅原先輩は素直に喜んでくれてるけど、慧太にぃのニヤつきが怪しい。
···怪し過ぎる!
桜「それに昨日、懐かしい名前を聞いたからね。大事な妹がお世話になるんだったら···ご挨拶も兼ねて、かな?」
桜太にぃ、その微笑みが黒くみえるのは私だけでしょうか···
『あ、で、でも!急に来たらみんな困惑するって言うか、ね?スガさん?』
菅「そうかなぁ?桜太さんや慧太さんならみんな面識あるし、大地や武田先生だってダメとは言わないんじゃないかな?」
いや、言おうよそこは。
だって多分、ふたりの目的はハゲつる繋心だよ?!
桜「それなら心配いらないよ。さっき澤村君にLINEしたら快くオッケーしてくれたから。菅原君が泊まった事には驚いてたけど」
···そりゃ驚くでしょ、私が誰より驚いたんだから。
それに澤村先輩に桜太にぃが話したってことは、学校行ってから···いろいろ成り行きを聞かれそうだよ。
あと、騒ぎそうな人物も心当たりありまくりだけど。
もの凄い追求をされたら、どう切り返そうか?
菅原先輩に押し付けてしまおうか?
黙々と朝ご飯を食べながら、そんな事を考えていた。