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【マギ】 ジャーファル、あなたのために。~亡国の姫~

第16章 能力を知りました。


セリシアside


「ところで、セリシアさんこそなぜここに?」

「まあ、似た理由です・・・。なんか起きちゃって。」

正確にはあのよくわからない夢のせいなのだけれど。
まあ似てるからいいよね。

「そうでしたか・・・。ここ、景色が良くていいですよね。」

「はい!今はまだ暗いですけど、月も良く見えるし。日の出も夕日も見えるし。」

「そうですね。ほんと、いいところです。」

心からそう思っているのがよくわかる。
声にそれが表れてる。
顔を見ると、優しく微笑んでいた。
・・・。
この人が、暗殺者なんて。
何かの間違いだよ・・・そう思いたくなる。
けど、なにかがそう思わせてくれない。
証拠があるわけじゃない。
けど、あの光景は真実だ、と告げられた気分。
それに、私はジャーファルさんの過去をみじんもしらない。
いつから政務官なのかも、どこで過ごしていたのかも、本当に暗殺者だったのかも・・・。
ホントに、何にもしらない。

「・・・ねえ、ジャーファルさん。」

「?」

「・・・いや、なんでもない。」

聞けば、それだけなのに。
なぜか、怖くて聞けなかった。
変わるわけないのに、何かが変わってしまいそうで。
弱い自分が恨めしい。
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