【マギ】 ジャーファル、あなたのために。~亡国の姫~
第16章 能力を知りました。
セリシアside
「あれ。」
ようやくたどり着いたのだが、すでに先客がいた。
夜も遅いこの時刻に人が起きているのでさえ珍しいだろうに、こんな場所で会うとは。
しかも、その相手が・・・。
「ジャーファルさん、体調大丈夫なんですか?」
「ええ、もうすっかり。」
ジャーファルさんは、しっかりとした態度で答えた。
疲れた様子は微塵も見せない。
「・・・。いや、ダメでしょ。寝ててくださいよ、病み上がりなんですし・・・。」
「大丈夫ですよ。むしろ寝すぎたくらいです。」
寝すぎたって…。
別に、風邪ひきさんが寝るのは当たり前だと思うんだけど…。
「それにしても、またここで会うとは思いませんでしたよ。」
「それは私もだよ。」
いつも道理の会話に少し安心する。
変な態度をしないかと、少し心配してたんだ。
「あの後、一度寝たんですけど、また目が覚めちゃって。だいぶ寝ましたし、少し期待しながらここに来たんですけど…。」
「期待?何に?」
「・・・あなたに会えることに。」