第2章 CHAPTER.0
ミオの質問に答えるように、アリーがいつまでも絶やさない笑顔のまま口を開いた。
アリー「7番目の真竜、VFDを倒すため──。
平和に見えるこの東京に7番目──最後の真竜が目覚めようとしてるんだ。
創造と帰滅の真竜──コトワリを支配するこの7番目を、アリーたちはVFDって呼んでる。
そして、それが出現するときこの星は終末を迎える」
ジュリエッタ「・・・なんで、そんなことが分かるんだ〜って顔してるわね。
知ってる人は知ってるのよ。ISDF・・・国際自衛軍や政府のお偉方のコトだけど。
報道されないだけでね。竜の飛来する兆候はいろんなところに現れてるわ。
地熱の異常上昇にカリブプレートの消滅。竜斑病(りゅうはんびょう)の蔓延もそのひとつね」
ミオ「竜斑病・・・」
シオン「竜斑病って・・・」
アリー「キミのまわりにもいないかな?
風邪が長引いてる人や咳が続く人・・・」
シオン「・・・居るけど」
アリー「そっか・・・オトモダチかな?
かわいそうだけどそのコ、長くは生きられないよ」
ミオ「・・・・・・・・・・・・」
・・・じゃあやっぱり、ミオは・・・。
私の身内にも、1人その竜斑病を患っている人が居る。じっちゃん。
一日に何度も何度も咳き込むその姿は見ているこっちが辛くなってくるくらいで、だけどじっちゃんは「こんなの、何ともないわい」っていつも笑い飛ばしながら生きている。
医者からは余命2年って言われてたけど、余命宣告された5年目の今もまだ生きている。
出来ればこのまま生きていてほしい。
もちろん、ミオにも。
ジュリエッタ「・・・竜斑病はこの星に蓄積された竜の瘴気が原因とされている根治療法も予防法もない不治の病よ。
つまり竜の瘴気が濃くなるほど竜斑病の患者が増えていくってワケ。
この星にはこれまで人類が撃退した真竜の瘴気が蓄積してるけど・・・ここ数年、患者数の増加は異常よ。
これも、かつてないレベルの真竜が地球に接近しているという証拠のひとつね」
アリー「たぶん、あっという間だよ。
もうすぐ政府が情報統制しきれないくらい終末の予兆は世界中に広がっていく。
そして地上は竜だらけになってフロワロが咲いて、星の死とともに──」
さっきまでの陽気な口調はどこへやら。
アリーは静かに「VFDが現れる」と告げた。