第2章 CHAPTER.0
エレベーターで3階の会議フロアへ上り、ナガミミの姿を探した。
受付カウンターのある奥にその姿を見つけ、近寄った。
ナガミミ「この部屋にウチのボスが居る。
サッサと入れ」
・・・段々とナガミミの横暴な態度に軽くストレスが溜まりそうだ。
さっきからサッサとだのキリキリだの・・・。
何か言い返してやろうかな、と思っていると隣を歩いていたミオから「シオン・・・」と名前を呼ばれた。
・・・あー、そうだよね。
さすがに聞かないとだよね。
シオン「・・・あのさ、ちゃんと説明してよ」
ナガミミ「チッ・・・」
シオン「(うわ、また舌打ち・・・)」
ナガミミ「一度しか言わねえからよく聞けよ。
セブンスエンカウントはただのゲームじゃない。
特殊な能力を持つヤツを選別するための試験装置だ」
シオン「特殊な能力・・・って?」
ナガミミ「──竜を狩る力」
リョウ「え、オレ?」
セツナ「リョウ、じゃなくてリュウだ」
ナガミミ「旧日本政府の分類で言えばS級の異能力者ということになる」
ミオ「で、でもわたしは・・・」
ナガミミ「S級にもいろいろあるんだよ。
テメエは身体能力こそクズだが、ナビゲーターの素質がある」
クズって・・・さすがに言い過ぎなんじゃないかと思ってると「ナビゲーターの素質・・・わたしに・・・」とミオが呟いた。
身体能力が低い事は自分でも認めているらしい。
まあ、病弱みたいだしなあ。
ナガミミ「つまりはスカウトってワケだ。
こっちは戦力不足だからな。
テメエらは上手くいけばオレ直属の部下ってことになる。嬉しくって涙が出るだろ?」
・・・いや、さすがにそこまで嬉しいとは思えないんだけど。
ミオ「竜・・・ドラゴン・・・。
だけどそんなの、1世紀近く前の昔話でしょ・・・?」
ナガミミ「・・・こっから先は、上のヤツらから直接聞け。待望の異能力者だ、お待ちかねだぜ」
そう言うとナガミミはどこかへ立ち去ってしまった。
道案内はここまで、と言う事か。
・・・特殊な能力・・・竜を狩る力・・・・・・。
異能力者・・・・・・竜・・・。
次から次へと言われる言葉をひとつも理解出来ない。
私はミオ達と顔を見合わせて、その答えを知る人物が居る会議室のドアへと手を伸ばした。