第7章 グレイ scene5
慌てて止まると、翔ちゃんも近くで止まった。
「あ…まずいね。コース外れちゃったかな…」
「うん…」
二人で明るいコースまで戻ろうとしたとき、突風が吹いてきた。
「うわっ…」
立っていられないほどのすごい風は、パウダースノーを吹き上げて、一瞬で視界が真っ白になった。
「まずいっ…智くんっ…離れないでっ…」
翔ちゃんが俺の腕を掴んでくれる。
なんとかはぐれないように二人で身体をくっつけて、風が止むのを待った。
「智くん…立てる?」
風はいつまで経っても止まない。
木の陰に隠れようと、俺達は動き出した。
まずいことに風の中に雪が混じり始めた。
「これ…吹雪になるね…」
「まずいね…」
ストックを離さないようにしっかり握って、ひたすらスキーを前に進めた。
「あっ…智くん!小屋があった!」
本当にラッキーなことに、倉庫みたいな小屋があった。
荒れ狂う山の天気は一刻の猶予も許してくれない。
なんとかたどり着いたけど、鍵がかかってて入れない。
申し訳ないけど、命には代えられないから鍵を壊して中に入った。
「あー…なんとか助かったかな…」
小屋の中には救助用品が置いてあった。
「助かったね…」
お互い顔を見合わせて、ホッとした。