第7章 グレイ scene5
後で、潤のマネージャーから聞いた。
入り待ちしてたファンの子から、水掛けられたって。
罵倒しながら、半狂乱で潤に向かってきたそうだ。
潤に口止めされてたから、誰にも言えなかったと。
楽屋では普通にしてたから気づかなかった。
その日の帰り、潤を中心にマネたちが話し合いをしてたけど、もうとても見てられなかった。
「あのさ…潤、引き取っていい?」
「何言ってるんだ…相葉」
「もう今日は無理だと思う。俺が家まで送るから休ませてやって?」
それでも渋るマネたちをニノが説得してくれた。
なんとか楽屋を抜け出して、地下の駐車場まで潤を連れ出した。
今日はたまたま自家用で来てて助かった…
助手席に潤を押し込んで、すぐに運転席に座る。
ちらりと見たけど、潤はずっと前を向いたまま無言だった。
「気晴らしにどっかいくか!」
ふっと力のない笑みを見せた。
「…俺、謹慎中だよ…?」
そんなのいいじゃねえかよ、とか口から出かかったけどやめた。
「じゃ、今日は潤の家で飲もうぜ」
返事はなかった。
予めマネージャーから自宅の場所は聞いてたから、まっすぐに向かった。
そのマンションに着くと、潤の家に強引にあがった。
断る気力もないみたいだったけど、玄関で揉めた。
「やっぱり…帰って…」
「なんでだよ」
「謹慎中だし…」
一人になりたいんだ。
だけど今までの経験上、一人にしたらまずいと思った。
こいつは墓穴の底に更に穴掘って埋まるタイプだ。
「俺が黙ってたらわかんねえよ。上がるぞ」
「ちょっ…相葉さんっ!」
腕を引っ張られるからよろけた。
倒れまいと身体を逆に倒したら、玄関に倒れ込んでしまった。
「痛ってー…」
潤を巻き込んで派手に倒れた。
「潤、大丈夫か?」
廊下に寝転がる潤は無表情だった。
「どっか打ってないか?」
首を横に振る。
でもその顔に、表情はなかった。
「潤っ…」
胸ぐらをつかんで引き起こした。
「なに…」
その表情は崩れない。
じっと顔を見つめながら、ゆっくりと手を離した。
「泣けよ…」
一瞬、大きく目を見開いて…
みるみるうちに目に涙が溜まって
それは零れ落ちてきた