第7章 グレイ scene5
黙って身体を引き寄せて抱きしめた。
「泣いちまえ…こうしててやるから…」
静かに静かに…潤は泣いた。
俺の服がびしょびしょになっても、まだ泣いた。
「ごっ…ごめんっ…」
しゃっくり上げながら、俺の服を手で拭いてる。
「いいから…服なんかなんとでもなるから…」
「でもっ…」
うるさいから、また抱きしめた。
「相葉さん…」
「いい。気にすんな」
そのまま潤はじっとしていた。
もう涙は出てないみたいだった。
「潤…?」
身体を離そうとした瞬間、俺の背中に腕が回った。
そのままそっと抱きしめられた。
「相葉さん…」
「ん…?」
「あったかいね…」
「体温高いからな」
「…ありがとう…」
潤が身体を離した。
そのできた隙間が、寂しいと思った。
でもその隙間は、潤によってすぐ埋められた。
気がついたら、俺達はキスをしていて…
唇が離れていったら、潤んだ目が俺を見ていた。
「え…?」
「すき…」
ぎゅっと俺の腕を握った。
「相葉さんが…ずっとすき…」
それは、夢にまで見た言葉だった。
「潤…」
震える手で、潤の頬を包んだ。
「俺も…すきだよ…ずっと、ずっと…」
この夜、俺達は…
長かった片思いに終止符を打った。
ふたりで…乗り越えていこう…
これからは、俺たちふたりで…
あれから潤は、よく笑うようになった。
でも俺たちの関係は、あんまり変わっていない。
まだ、実はキス止まり。
変わったことと言ったら…
「雅紀!」
潤が俺のこと、呼び捨てにするようになったくらいかな。
ゆっくり、進んでいこう…
今まで待てた俺たちなんだから、きっと乗り越えていける。
「何だよ…潤…」
「ねえ…失敗しちゃったじゃん…どうしてくれんの…?」
深夜、鏡に向かって話しかける。
「あの二人、くっついちゃったじゃん…せっかく今まで邪魔し続けたのに…」
鏡の中のカズナリは、凄く怒ってた。
「幸せそうだね…」
ぎりっと唇を噛んだ。
かと思ったら、カズナリは鏡を殴りつけた。
「…ぶっこわしてやる…」
そう…あんたたちは、俺の手のひらの中にいるんだよ
ふたりだけ幸せになんか
してやるもんか
END