第7章 グレイ scene5
「ぷっ…」
「なあにい?」
「その顔…」
「なんだよお…」
「安心しきっちゃって…刃物を喉元に当てられてるのに…」
ジョリっとカミソリを滑らすと、にたりと笑った。
「やめてよ…」
「むふ…俺のこと、そんなに信用するなよ?」
「ぶっ…」
たまに何考えてるかわからないこともあるけど…
でも基本的に表情に出やすい人だから、考えてることの大半はわかる。
「…信用してるもん…」
「あ?」
「もしもね…もしもだけど…このまま喉を掻っ切られるとしても…それはなんか理由があるんだろうなって思うから、俺、成仏できるよ」
「…何言ってんだ…」
「まるごと愛してるってことだよ」
「ぶあーか」
シャワーヘッドからぬるめのお湯を出すと、俺の全身を洗い流してくれた。
「…潤…」
「んー?」
大野さんの手が泡を洗い流してるのが気持ちよくて、目を閉じてた。
「俺も、愛してる」
優しく喉元を手が這っていく。
「おまえは、一生俺のものだからな」
「うん…」
するり
また心のなかにはいってきた
今度は容易には出ていかない
下半身に熱が集まる。
きっと大野さんはわかってるけど、何も言わない。
そっと全身を洗い流してくれると立ち上がった。
「さ、出ようか」