第7章 グレイ scene5
あれよあれよという間に、医師がやってきて簡単な問診をされたら、俺は解放された。
服を着替えたら、すぐ退院。
たんこぶ以外、どこにも異常はありませんってさ。
「よかったね!翔ちゃん。すぐおうち帰ろうね?」
「う、うん…」
なぜか、雅紀が俺の車を運転している。
「ねえ、夕飯何食べる?」
なぜか、奥さんみたいなことを言う。
「あ、先にお風呂入りたい?寝癖、凄いよ?」
なぜか、一緒に暮らしてるみたいな事を言う。
俺の家に着いたら雅紀のポケットから俺んちの鍵が出てきて、一緒に家に入ってきた。
オイ…なんだこれ…
「あの~…」
玄関で靴を脱ぐ後ろ姿に話しかけると、くるりとこちらを向いた。
「おかえり!」
ちゅっとキスすると、雅紀は頬を染めて恥ずかしそうに笑った。
「どわっ…」
仰け反ったら玄関ドアに頭をぶつけた。
「いってええええええ!」
「しょ、翔ちゃん!もう!なにやってんの!」
なにやってんのはこっちのセリフだよ!
なんで…
なんで俺にキスしてんだよ!おまえ!
すりすりと俺の後ろ頭を撫でると、雅紀はにっこり笑った。
「照れたの?一日ぶりのキス」
魂、抜けた