第7章 グレイ scene5
30分ほどの休憩だった。
その間和也は居なくって、控室にハケてるみたいだった。
スタジオの邪魔にならない場所に陣取って、CMの進行表なんかを見ながら和也が来るのを待った。
「ん…?んんん…?」
これ…ほんとに和也がやるの…?
絵コンテ、とてもじゃないけど和也に見えないんだけど…
周りの人は俺に気づきながらも、さっきのスタッフさんが周知してくれたみたくて、俺に触れてこなかった。
とっても助かります。
休憩は伸びに伸びて、1時間後やっと撮影は再開された。
「二宮さん、戻りましたー!」
ADが声を掛けると、スタジオに緊張が走る。
「え…?」
現れた和也は…着流しにヅラを着けてるんだけど…
後ろに流した豊かな黒髪を一つにまとめて縛ってるだけ。
まるで女性みたいだった。
「っ……」
思わず口を手で覆った。
「二宮さん、綺麗だよなあ…」
周りのスタッフさんが、思わずって形でつぶやいてるのが聞こえた。
お侍さんじゃなくって、浪人さんの役だった。
まあ、お侍さんには変わらないのかもしれないけど…
薄いベージュの下地に、足の方には薄い紫の雲の模様が入ってる着物で…
実際の浪人さんがあんな贅沢な着物着てるわけないけど…
まあこれはCMだからね。