第6章 ショコラ scene4
「気づいてたら…また、違ったのかな?」
「え?」
雅紀がおにぎりを持ったまま考え込んだ顔になってる。
「その、おみちさんの気持ちに気づいてたら、純一郎さん、あんなに寂しくならなかったのかなって…」
「雅紀…」
「そしたら、こんな風にはならなかったんじゃないかな…」
「ん…そうかもな…」
”堪忍え…おみち…”
純一郎さんは…何を思ったのだろうか
ご飯を食べ終わると、座敷に先生と若い男性が入ってきた。
「あ…櫻井さん、どうですか?」
「ええ。だいぶいいです」
「今日はお泊りになってくださいね。念のため」
「あ…でも…」
「遠慮はナシですよ?」
そう言っておちゃめに笑った。
先生と若い男性は潤とニノの様子を静かに見ている。
潤はやつれきった顔をしている。
とても深く眠っているようだ。
「うん…大丈夫でしょう」
そう言うと、男性に笑いかけた。
「あっ…そうだ!あの、行長先生の息子さんなんですか?」
「え…あ、はい…」
男性は目を白黒させながら頷いた。
「いつもお父様とお母様にはお世話になっています…」
ずさっと三人で頭を下げると、息子さんは恐縮された。