第6章 ショコラ scene4
まるでスローモーションのようだった。
智くんがおばさんの手も、雅紀の手も振り切って潤の方へ駆け寄った瞬間、ニノの身体が飛び上がった。
その瞬間、ニノの身体が光った
まばゆい光があたりを包み込んだ。
これは…
あの時…高尾の御陵で感じた、清浄な光
「白ぉっ…」
純一郎さんの叫びと、猫鬼の咆哮が聞こえたかと思うと、音がなくなった
白い…猫…
ちりりんと鈴の音を鳴らして、歩いて行く
”おいで…”
あれは…純一郎さんだ
”白ちゃん…”
あの子は…おみちさん…?
踝が少し出ている絣の着物を着て、うしろでまとめた髪を結っている。
白い前掛けをぎゅっと握って、純一郎さんを見つめていた。
純一郎さんが近づいてきた白い猫を胸に抱くと、猫は胸にすりすりと顔を擦りつけた。
純一郎さんが、おみちさんを見る。
おみちさんは後ずさる。
”ごめんなさい…ごめんなさい…純一郎さま…”
そのまま、おみちさんの身体は消えてなくなってしまった。
あとに残った純一郎さんは、おみちさんが消えた後をじっと見ていた。
そうして、そのまま白い猫と一緒にだんだんと姿が掻き消えていった。
”堪忍え…おみち…”