第6章 ショコラ scene4
「純一郎さんっ…しっかりしてくださいっ…」
おばさんが行長先生の身体を引き起こした。
「あああああっ…だってあれは、魔ぁやないか!なんであんな姿になってしもうたんや…!」
「あれは、おみちさんで間違いないんですね!?」
「ああ…ああ…そうや…あれは、おみちの顔やった…」
さっき見た記憶が蘇ってくる。
あの子は…純一郎さんのことが好きだった…
純一郎さんの無念を晴らすために、あんなことをしたんだ
「なんでおみちがあんな姿に…?」
「わかりません…あなたが聞いてみてくれませんか?」
「えっ…」
「あの男性の中には、あなたの白という猫がいます。わかりませんか?」
「え…白…?」
「そうです。あなたの唯一のご家族である、猫の白ちゃんです」
おばさんの声は、恐ろしいほど落ち着いていた。
「白…」
行長先生の身体が、潤のほうへ向いた。
おばさんに支えられたまま、ゆらりと立ち上がると潤を一生懸命見ている。
「嘘や…白…?あれが白なん…?」
近づくおじさんを威嚇して、潤は大きく一歩飛び下がった。
後ろにはガレージの壁。
張り付くように立つと、咆哮を上げた。
「なんで…?白まであんな姿に…」