第6章 ショコラ scene4
なー…ぉ…
「え…?なんで…?」
何もなくなった離れにぽつんと残る骨箱。
豪華な錦に包まれて、ただそこに置いてある。
その傍には、白ちゃんが丸くなって眠っていた。
「なんで…?なんで…?」
縁起が悪い―――
そう言って奥様は、純一郎さまの四十九日が過ぎると、柊一朗さまをお連れになって、お生まれになった京都のご実家へ帰って行かれた。
東京になんか来なければよかった
旦那様は亡くなる…純一郎は亡くなる…
なんにもいいことがなかった
旦那様の仕事の関係とはいえ、私はこんなところ住みたくはなかったのだ
そう吐き捨てるように言って、この家を出ていったのは三日前だった。
「きっと…忘れてしまわれたのよね…?こんな大事なもの…」
この家のお墓は京都にあると聞いている。
だから、納骨もしないでそのままになっているのだ。
ぎゅっと骨箱を抱きしめる。
今なら…誰も見ていないから…
「純一郎さま…」
声に出した途端、恥ずかしくなってしまった。
床の間に骨箱をおくと、離れの掃除に取り掛かった。
白ちゃんは黙って床の間まで行くと、またその傍で丸まって眠ってしまった。