第6章 ショコラ scene4
そっと奥様がちゃぶ台の上にお茶を出した。
「…疲れが溜まってイライラしちゃうわよね…こんな状況だったら…」
そう言ってくすりと笑った。
「さあ、梅昆布茶です。どうぞ飲んでください」
にっこりと笑ってチーフを見上げた。
「松本さんが…一番お辛いんですよ…?」
チーフの身体から力が抜けた。
すとんと畳に座り込むと、俯いてしまった。
「すいませんでした…」
奥様はチーフの手に梅昆布茶の入った湯呑みを渡した。
「私の力が至らないばかりに…」
行長先生が呟くと、チーフはすごい勢いで顔を上げた。
「も、申し訳ありませんっ…先生っ」
「いえ…このようなケース、私も初めてなのです。だから、大変申し訳ないが、お約束はなにもできない…」
苦しそうに言うと、行長先生は頭を下げた。
「私以上に力のある先生をご紹介できたらいいのですが…残念ながら、これを解決できそうな方は思い当たりません…」
霊魂のことだけでなく、呪術や願掛け…そのようなものにも精通している人でないと事に当たれないということだ。
「先生…申し訳ありませんでした…頼れるのは先生しかいないというのに…」
「いえ…念のため、松本さんのご家族を呼んでいただいたほうがいいかもしれません…」