第6章 ショコラ scene4
ふっと純一郎さんは笑った。
「そんなことも…言われましたなぁ…」
「純一郎さん…」
「母は、公家の出ぇやったんです…せやから、そういう世迷い言もよう信じてましたわ…」
雅紀の目に涙が溜まってきた。
先生の方を見ると、首を横に振った。
「もう、やめようか…」
雅紀を立ち上がらせると次の間に連れて行った。
「翔ちゃん…?どうしたの?」
「おまえまで同情したらだめだろ?」
「あ…」
「…潤が戻ってこれないのは…優しすぎるからかもしれない…」
潤は…あんな見てくれだし、やることも派手だ。
だから、誤解されやすいけど…
とても心根の優しいやつなんだ。
雅紀に負けないくらいのお人好しだし。
「じゃあ、純一郎さんの傍に居たのは猫の白だけ…?」
背後でニノの声が聞こえた。
振り返ると、智くんとニノはまだ潤の傍で話をしていた。
「白…そうですね…白と…下女と医者くらいでしたわ…俺の喋り相手は…」
「そう…」
ニノはなんだか考え込む顔になった。
「純一郎さんのご家族は…お母様しか居なかったんですか?」
「母と…弟、それから婚約者が居ました」
「婚約者?」
「小さい頃から…親同士が決めたもんやさかい…」