第6章 ショコラ scene4
次の日、起きると結構な時間だった。
「やば…寝すぎた」
すでに智くんとニノの姿は座敷にはなかった。
雅紀を揺り起こしてお台所を覗くと、奥様がぱたぱたと何かを作っている。
ベージュのカーディガンにえんじ色のスカート。
それに白い割烹着を着ている。
襟元からは、清潔そうな白い綿のシャツが見えた。
白髪の混じった髪はいつも通り、後ろで一纏めになっている。
「おはようございます…」
お忙しそうだったから、遠慮がちに声を掛けるとにこにことこちらを振り返った。
「おはようございます。ご飯、召し上がる?」
座敷には布団が敷きっぱなしになっていたから、お台所のテーブルで朝ごはんを頂いた。
「櫻井さんはお風呂どうぞ」
「えっ?」
「昨日、入れなかったでしょう?」
こんな時に、よくそこまで気が回るなあと感心してしまった。
やっぱり、こういう修羅場をたくさん経験していらっしゃるからだろうか。
ひとっ風呂浴びて座敷に戻ると、3人がせっせと布団をたたんでいるところだった。
「あ、翔ちゃんお疲れ」
ニノと智くんが俺に声をかけてくれる。
「昨日、見てたよ。うん…」
智くんは昨日メッセージをくれなかったから、それをちょっと悔やんでいるようだった。