第6章 ショコラ scene4
次の間に入ってきた行長先生は疲れていた。
そのまま畳に座り込むと、一つ息を吐いた。
「先生…あの…潤は…?」
智くんが恐る恐ると言った感じで切り出した。
こうやって智くんから切り出すのは、珍しいことだった。
それほど、潤のことが心配なんだろう。
「…とても、難しいです…」
「どういうことなんですか?」
「松本さん自身が、ちょっと…」
「え…?」
ニノが俺の顔を見てきた。
俺も戸惑った。
だってこんな行長先生を見るのは初めてだったから。
「先生…猫鬼ってやつ、すぐに追い払えないんですか?」
雅紀が身を乗り出した。
「だって…悪いものだったら強制的に引き剥がすって言ったじゃないですか!先生っ…」
「落ち着いて、相葉さん…」
先生は少し額に手を当てた。
「松本さん自身が…戻ってこないんです」
「え?」
「深く入り込まれていて、たぶん…」
「シンクロしてるってことですか?」
「いえ…そういうレベルの話ではありません。松本さんが、どうも猫鬼の術者と一体化してる感じがしますね…」
「え…?まって下さい。どういうことなんですか?」
思わず声を上げたら、先生は俺を深い目で見た。