第6章 ショコラ scene4
「松本さんと術者…もしかしたら同じ思いをしているのかもしれない…」
「…え…?」
「それがなにかはわかりませんが…松本さんはシンクロどころか取り込まれている…」
「そんな…」
俺のときとは状況が違う…
俺は美々子さんの時は、とにかく早く出ていって欲しかった。
一緒にいるのが苦しくてたまらなかった。
「潤は受け入れてるってことですか…?」
「そう…とも言えますが…ちょっと違います」
「え?」
「術者か猫鬼の記憶に触れたのかもしれません…そして、それに自分の普段思っていることと同じような感情が含まれていたとしたら…」
「ご、ごめん先生…俺、よくわかんない…」
智くんが頭を抱えた。
「同情したってことですよ」
先生は少し目を閉じた。
「非常に厄介です…松本さん自身の元に戻ろうという気持ちが大事なんですがね…」
「潤とは話せなかったんですか…?」
俺が聞くと、先生は微かに頷いた。
「猫鬼と同化してしまっている恐れがあります。だから、無理やり剥がすと…」
潤が、消えてしまう。
先生がそういうと、部屋は静まり返った。
「とにかく、今は身体を休めましょう…」
こんなに疲れ切った行長先生を見るのは初めてだった。