第2章 次男✕新人家政婦 紫月麻友
麻友は自身が盗みを働いた部屋、つまりは目の前にいる渉の亡くなった母のベッドの上に座らされていた。渉は手に家庭用ビデオカメラを持ち、それを麻友に向けた。
「それじゃあさっき僕が教えた台詞言ってくれるかな?」
その言葉に麻友は重い口を開いた。
「私、紫月麻友は長谷川家で家政婦のお仕事をしています。そのお仕事中に奥様の部屋から盗みを働きました。今後は心を入れ替え、誠心誠意長谷川家に尽くしていきます。」
その言葉を聞き終えると、渉は満足そうな笑みを浮かべ、手にしていたビデオカメラを机の上に置いた。
「じゃあ麻友お姉ちゃん、約束だからね。それじゃあ他に今日盗んでる物がないか確認させて欲しいな。」
「他には何も盗ってないよ。」
「そう言って僕を騙そうとしてるかもしれないじゃないか。ちゃんと確認させてくれないと麻友お姉ちゃんのこと信じられないよ。」
自分の行いに対する罪の意識から麻友は気の済むまで調べていいと渉に言った。
「麻友お姉ちゃん、上着を脱いで。」
言われた通り上着を脱ぎ、それを渉に渡した。渉は受け取った上着のポケットに手を入れ、何も入っていないことを確認した。
「次はズボンを脱いで。」
相手は小学生とは言え、他人の目の前でズボンを脱ぐことに抵抗があった。中々ズボンを脱ごうとしない麻友に渉はこう言った。
「お兄ちゃんが帰ってきてからにする?」
流石に同い年の優の前でズボンを脱ぐのは恥ずかしい。そう思った麻友は渉の言葉に従いズボンを脱ぎ、それを渉に渡した。渉は先程同様、受け取ったズボンのポケットの中を確認した。
「ほら、何も入ってなかったでしょ?もう服着てもいいよね?」
「まだ麻友お姉ちゃんお洋服着てるじゃん。それも脱いで貰わないと。」
「裸になれって言うの!?」
「パンツの中に隠してるかもしれないよ?」
「隠してない!」
「ほら、怒るってことは見られたらまずいからでしょ?」
「人前で裸になれる訳ないじゃない!」
「そんな風に怒る麻友お姉ちゃんは嫌い。お父さんに電話する。」
そう言ってポケットから携帯を取り出した渉。それを見て麻友は慌てた。父親に連絡をされるということは、麻友が盗みを働いた事が明るみに出ると言う事。それだけは何としても避けたい麻友は意を決した。