第2章 次男✕新人家政婦 紫月麻友
「麻友お姉ちゃん何してるの?」
引き出しの中にあるネックレスを手に取っている姿を渉に見られた。
「たまにはこの部屋も掃除してた方がいいかな、って思って。亡くなってもこうやってお部屋をそのままにしてるんだから、お父さんの為にも綺麗にしておこうと思って。」
「そっか!麻友お姉ちゃんありがとう!」
小学生である渉は笑顔を浮かべそう言った。人を疑う事を知らない子供。見られたのが渉で良かったと安心したも束の間、渉の言葉に絶望することとなる。
「でも、人のお家の物を勝手に取って行って他所で売っちゃうのは良くないことだよね?」
「わ、たるくん何言ってるの?」
麻友は渉の言葉に動揺が隠せなかった。
「この部屋ね、昔から家政婦さんたちがね、お母さんの物を盗って行くからカメラがついてるんだよ。麻友お姉ちゃんがお母さんのピアスやブローチを盗っていったのもちゃんと映ってたよ。これって警察に見せたら麻友お姉ちゃんは捕まるのかな?」
笑顔でそう言った渉に麻友は謝罪の言葉を並べた。どうか警察だけはと小学生の渉に懇願した。
「僕、麻友お姉ちゃんの事大好きだったのに裏切られたみたいで悲しいな。でも、お姉ちゃんが僕のお願い聞いてくれたら、警察にもお父さんにも秘密にしててあげる。」
その渉の提案に麻友は大きく頷いた。小学生のお願いなんてたかがしれている。そのお願いを聞くだけで大事にならないのならと麻友は二つ返事で頷いた。