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戯れ

第2章 次男✕新人家政婦 紫月麻友


麻友は足音に耳をすませた。静かな廊下に響くのは子供の足音ではなく、大人の足音だった。そしてその足音は麻友のいる二階へと近付いてきた。
階段を上ってきたのは、長男の優だった。

「麻友ちゃん、ただいま。」
「優さんがこんな時間に帰って来るなんて珍しいですね。」
「ちょっと忘れ物をしちゃってね。」

そうだけ言うと、優は渉の隣の自室へと入って行った。

麻友は兄である優ならば渉のパソコンのパスワードを知っているかもしれないと思った。だが、雇い主である息子の渉のパソコンのパスワード何と理由をつけて聞けば不自然がないのか思いつかなかった。だが、思ってもいなかった好機が訪れた。

「ぶっちゃけさ、家政婦って言っても弟がいない時は掃除や洗濯終わった後って暇じゃない?」

自室から出てきた優にそう問い掛けられ、それに頷いた。

「麻友ちゃん、ちょっと来て。」

優に手招きをされ、優と友に渉の部屋へ入った。そして、優は渉の部屋のパソコンの電源を入れた。

「俺と父さんのパソコンは学会の資料とかあるし使わせてあげられないけど、弟のだったら好きに使っていいから。」

そう言って、麻友が何日かけても当てることの出来なかったパスワードは優の手によって解除された。

「ゲームしたり動画見たり、空いた時間は息抜きしてね。」
「ありがとうございます…!」

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