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【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】

第1章 兵庫水軍との邂逅




第二話「不審者と海賊」



兵庫第三協栄丸の眼前。
そこできちんと正座している人物こそ岩礁で引っかかっていたという、
兵庫水軍達を騒がせていた例の漂流者だった。
重が先程泳いできた海から、船上まで抱えて連れ帰ってきたのだ。

しかし衰弱しているのか、意識はあるようだがぼんやりとしており、
現在の状況がよく解っていないようだ。

兵庫第三協栄丸を背後から囲むように、
兵庫水軍達は揃って眼前の人物へ珍妙な物を見るかの様な眼差しを降らせていた。
皆がその人物をそのような目で見るのは
漂流者――という事もあったが、理由はそれだけではなかった。

まだ全身海水でぐっしょりと濡れてしまっているが、
それでもその容貌は目を見張るほどの美男子であったのだ。
眉目秀麗…とはまた違った雰囲気で、眠そうに伏せた睫毛が長く瞳も大きい。
どちらかといえば愛らしい……、と言うのが相応しい印象である。
その上顔の中心に変わった形の赤い丸眼鏡を掛けており、さらに愛嬌のある顔に見えなくもなかった。
短く切り込まれた毛は赤茶けた色合いをしているものの、
傷んでいる様子はない。

その風貌は随分と変わっているものの、纏う着物は意外にも普通だった。
信夫草の散りばめられた模様の赤い木綿の小袖に子鹿色の木綿の袴。
そして藁草履――

……しかし、どうにもちぐはぐだった。。
皆その違和感の正体が分からず、奥に挟まったものが噛みちぎれない様な気分だった。
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