【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第1章 兵庫水軍との邂逅
風呂場前を一瞥すると、麻言はまだ
入浴場にいるようだった。
結構風呂が長いんだな、と白南風丸は思う。
白南風丸程の歳の男は長風呂をするものは少ない。
…長風呂好きって。
見た目より、なかなか渋い思考をしてるのかもしれないな。
「―麻言ーっ」
「ん?はいはい」
隔てた扉から麻言の返事を確認すると
「身体を拭く布っ。さっき渡し忘れてたからここに置いとくぞー」
「ああっ。有難うっ!」
そう言うと、桶でお湯を流す音が響いた。
分かりやすい様に着替えと一緒に置いとくか。
「えーと、着替え着替え…」
辺りを見回し、白南風丸は直ぐに自身の使い古しである
見慣れた着物を発見した。
しかし。
「…え。なんだこれ」
隣に置かれたその物体にそれが何であるかすぐには気が付かなかった。
だが、何秒か見つめている内に認識した白南風丸が目を見張る。
「これ…!包帯じゃないかっ」
しかも、この巻いてある太さだと相当な長さにはなる。
―って事は。
「あいつ…!まさか、大怪我してるのかっ!?」
あんなに飄々としてたのに。
勢いのまま入浴場の扉に手を掛けると
白南風丸は思い切り押し開けた。
「おい麻言っ!大丈夫か、お前怪我してるん…じゃ…」
白南風丸の言葉は。
途切れ途切れになり、やがて途切れた。
扉を開けて直ぐに麻言のきょとんとした瞳と目があった。
麻言は白南風丸の視線から、横向きに腰掛けている。
怪我の具合を見る為視線は下へとずれていく。
胸部の方へ目が行くと、違和感につい目を擦る。
今度は腹部から下。
大きな怪我は見つからない。
…?やはり、胸部。
―そして先程の違和感に気付いた。
麻言の胸に豊かな膨らみがある事に。
片手で桶を手にしていたので、その全貌は明らかではないが。
その上、よく見ると身体つきも全体的に丸みを帯びていた。
「え~と、白南風丸?」
どうしたの?と何でもないように冷静に疑問を口にする。
呆然としている白南風丸とは相対するように。
白南風丸の目の前。
麻言という少年はそこにいなかった。
―娘だった。