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【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】

第1章 兵庫水軍との邂逅



「―おーい!麻言~っ?」

館の入り口の方から、白南風丸の呼び声が聞こえてくる。
あっと言って声を漏らす麻言に

「私はもう大丈夫だ。行っといで」
「あ…、はい。どうかお大事に」

軽くお辞儀をして麻言は駆け足で白南風丸の元へ向かう。
その通りすがら、義丸に会った。
麻言が駆け足のまま「おやすみなさい」と言うと
義丸も「おお、おやすみ」と返答した。

僅かに笑みを浮かべ、そのまま義丸は鬼蜘蛛丸に
近寄ると「ほいっ」と片手に持っていた海水を手渡した。

「おぉ…すまんな、義。有難う」

喉鳴らして一気に海水を飲み干そうとする鬼蜘蛛丸に

「あいつ…いい子だな」と義丸が言った。

「?麻言の事か」
「ああ。
―それに可愛らしい顔してるよな」

肯定して、そう口にした義丸に鬼蜘蛛丸は眉根を寄せる。

「何だお前、その。そういう趣味もあるのか?」
「ははっ、まさか。でも、色街辺りに転がってたら
誤って食っちまいそうだよな」
「―おいっ、義っ」

流石に言葉が過ぎるぞと咎める鬼蜘蛛丸に対し
「冗談ですよっ冗談っ」と義丸は悪びれた様子もなくカラカラと笑っている。
この同年の男はいつもこうだ。
半目で鬼蜘蛛丸は睨めつけていたが、それに気にせず義丸が続ける。

「でも、もし女だったら…
俺、結構本気になっちゃうタイプかもな」
「…ありもしない事、勝手に言うもんじゃない」

流石に冗談に付き合いきれず呆れたのか、
鬼蜘蛛丸は盛大なため息を吐くと内心で悪態をついた。

この同年であり、旧友が女絡みで死んだら
絶対に悲しんでやるものか―と。


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