【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第1章 兵庫水軍との邂逅
ぐううぅと全員に聞こえる程の腹音が鳴り響く。
「あらら~」と顔を赤くした麻言はばつが悪そうに俯いた。
どっと周囲から笑い声が上がる。
「がっはっはっは!腹の虫も丁度鳴いてやがるなっ」
「あはは~。いやぁ、かれこれこの数日間
水だけしか飲んでなかったもので」
「そうかそうか、数日間も…
―何ぃっ!数日間っ!?」
麻言の返答に目をむき兵庫第三協栄丸が前のめりになった。
「数日間ってお前…!その間ずっと、
あの岩礁で引っかかってたって事か?」
「ああ、いや。多分そこにいたのは
昨日の晩から今朝までの間かなあと…記憶が確かならですが。
―実は僕、夜道で崖から足を踏み外して海に落ちちゃったんですよ。
どうもそこから意識がなかったみたいで」
麻言はそう説明すると昨夜の
出来事を思い出しながら苦笑する。
しかし、まだ気になることがあった。
「―じゃあよ、その更に数日前はお前何してたんだ?」
疾風はそう問いかけると
「あっ、別に尋問してるわけじゃねぇからな!」
と慌てて継ぎ足す。
すると麻言は呻りながら、
腕を組んで目を瞑り眉を顰めた。
「う~んと実は…えーと…」
「どうした?」
「実はこの話…結構長くなってしまうんですが構いませんか?」
そう訊ねると、疾風が頷き
兵庫第三協栄丸にも目で確認を取ると深く頷いた。
「有難うございます。それから―
話をする前に単刀直入に言いますね」
皆怪訝な目で麻言へ注目すると
「僕は―どうやら、記憶喪失のようなんですよ」
ときっぱりと言い切った。
正しくは三ヶ月前からの記憶がないと付け加えて。