【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第1章 兵庫水軍との邂逅
遡ること数時間前。
兵庫水軍の一員である重を鮫の脅威から救った麻言は、
総大将である兵庫第三協栄丸をはじめ兵庫水軍一同から感謝され、深く謝罪を受けていた。
「仲間を助けてくれて有難うなっ。
―そして、すまなかった。不審者だの闖入者扱いしちまって…」
兵庫第三協栄丸が深く頭を下げると、
傍で控えていた水軍の面々も続くように揃えて頭を下げる。
「なんてぇか、言い訳するようなんだけどよ…。
この海は結構狙われるんだ。
それで敵城の忍者やら、どっかの間者やらが
探りをいれにとか―
まあ、とにかくそういうのが多くてなぁ」
困ったように眉根を寄せて、兵庫第三協栄がそう言うと
「いやぁ、え~と。気にしないで下さい。
知らなかったとはいえ勝手に人の領地に入ったのは僕だし。
それに」
「それに?」
「―先に、助けてもらってますからね~。あ、それについさっきも。
こっちこそお礼言い損なってたんですけど、
助けてくれて有難うございました…!」
麻言はそうお礼を言って深々と頭を下げた。
兵庫水軍一同はぽかんとした顔をしたが、やがて軽く笑い声を出した。
「なんつぅか…。毒気を抜かれちまうな、お前さんにゃ」
「しかしこういう、恩義を大切にする奴は好きだぜ。気に入った!」
由良四郎、蜉蝣はそう言うと快活に笑う。
「おっ、そうだっ!お礼といっちゃ何だが…
陸に着いたら是非海の幸をご馳走させてくれないか?
うちの船員がとびきり腕を振るうからよっ」
思いついた様にそう言って振り向く兵庫第三協栄丸の後ろでは、
任せて下さいと言わんばかりに数名の水夫が腕を掲げていた。
「ご馳走…!」
そう言うと、麻言が輝かんばかりの笑顔を見せる。
―と。