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【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】

第1章 兵庫水軍との邂逅



―心臓が激しく何度も脈打っている。
それなのに頭中は不思議と冷静だった。

今日は沢山泳いだなあ。
もしかしたら、新記録かも。
舳丸の兄貴にも褒められたし。
あっ、その後倍くらい怒られたけど。

走馬灯。
それとは重は気づかない。
鮫はもう目の前に迫っていた。

俺がいなくなった後『あいつ』どうなるのかな?
誤解…解けるといいなあ。
ああ、そうだそういえば―

ゆっくりと大きく鮫の歯が開かれ、視界がそれで一杯になる。
船上の皆の悲鳴は聞こえない。

―俺結局、泳ぎの勝負で舳丸の兄貴に
勝てず終いだったなあ。

一回くらい勝っときたかったな。

俯いて、そっと微笑した。
影で重の周囲が暗く染まる。


「―っあああああああああぁぁぁっ!!」

鮫の影だと、重は思い込んでいた。
その咆哮を耳にするまでは。
真上を見上げると、太陽を背に小柄な黒い影が見えた。

その振り上げられた両腕には―刀。


ずしゃあああああああんっ!!!

大きく振り下ろされた。
重の前で大きく水飛沫がたつ。
そして、目の前の鮫の顔が…崩れたのだ。
ずるりと。

それは海面へ沈み、
斬られた断面から血が溢れ出していたのが見えた。

それから目を逸らすと、重は影の姿を探そうとした。
しかし、その間もなく重は視線に気づき―
空中できょとんとした顔の少年と目があった。
重の顔を確認すると麻言は微笑みを浮かべ、
小さな水飛沫を上げて水面に落ちた。
そして、そのまま海中へ沈んでいった。

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