【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第1章 兵庫水軍との邂逅
―ガッ
間切が重の袖を掴んだ。
次に舳丸、東南風が腕を。
『っせーの…っ!!』
力を合わせる様に三人が力んだ。
途端、重の上半身が引っ張られ船の縁まで浮かび上がった―
刹那。
第二の衝撃が襲ったのだ。
三人の合わせた力は弾けるように分散させられる。
最初に、仰け反り体制を崩した間切の手が離れた。
次に横へ倒れるように東南風が。
支えになっていた二人分の力がなくなり、
舳丸一人の手に重の体重が一気に掛かる。
「―っが…!…あ…っ!」
踏みとどまろうとした舳丸は
船の縁に腹部を強打し、肺から漏れるような声が出た。
ずるりと、掴んでいる重の方へと
舳丸の上半身が連れていかれる。
「っ兄貴…っ!」
「危ねえっ!」
倒れていた間切と東南風は跳ね起きると
舳丸の腰を抱え込んだ。
しかし、体制が悪い。
徐々に舳丸も船の外側へ飲み込まれようとしている。
―このままでは…
「…兄貴」
俯いて、呟くように重は言った。
「…っ大丈夫だ!大丈夫だぞ、重っ」
必死にそう言って、歯を食いしばる舳丸に
「っ、すいません…っ!」重はそう言った。