【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】
「頼んで付いてきて貰ったんだ。……カッコ悪いだろ?」
苦笑して言う義丸。だが、俺は全然そんなことを思ってなかった。
なので、頭を振ってそれを否定する。
「……そっかよ、優しいよな鬼蜘蛛丸は」
「――話すんなら、もう少し奥に行こう。ここだと人目につくからな。後、麻言」
「はいっ」
「お前はどうする? 一緒にくるか? 会話には加えられないが」
「二人が良いのであれば……」
そして、無言に頷き合い場所を移動した。
建物の見えない、岩陰のある海外付近を話場所に選んだ。
少し離れた所に麻言が見守るように私達を見ていた。
本当に心配症だ。その姿につい笑みがこぼれてしまう。
「――鬼蜘蛛丸」
しかし、義丸の声が再びぴりりとした空気に変えた。
つい佇まいを整えて「どうした?」と問いかけていた。
「お前が、よ……さっき、怒ったのは俺が花街帰りだったからか」
「それも関係があるが、全く別の事だ」
「俺は、あの場でお前に叩かれるような覚えはなかったはずだが――」
「――義丸」
ぴしゃりというとよ義丸が口を黙らせた。
「俺はその花街に行った帰りの女の匂いを何も考えず、麻言に嗅がせたお前に腹が立ったんだよ。なあ、お前にとって麻言って何だ?」
「大事な、仲間だけど……「本当にそれだけか?」
義丸の言葉をつい遮って、鋭く射抜く。
「俺は多分……、あの子に対して少なからず仲間以外の好意を懐き始めている、のかもしれない」
「――な……っ!」
意外な告白をした事に大きく目を開かせていた。
義丸が驚くのも、無理はないよな。
私はこういう色事やら、恋とかには本当に疎い。
女性と話す機会も無ければ、兄貴達や義丸の様に花街に行くことも恥ずかしくてできない。
だが、麻言をという女性に出会えた事で水軍にいる楽しみが増えたのだ。
だから、多分……。